クロスオーバーが成功する条件

CWUNのSTANDARDにクロスオーバーについての話題がありましたので、今日は新しいクロスオーバー規格を作るに際して、それが成功する条件について考えてみます。


最初に、「リューンの鍛冶屋」が発表された時代について考えてみたいと思います。


当時は、まだ発表された作品数が少なく、大抵のプレイヤーが「リューンの鍛冶屋」をプレイしていました。そういう意味ではシナリオの認知度が相当高かったと言えます。
また、作者の伊達氏は当時のスーパースターで知名度は相当なものでした。
さらに、当時の作者間のコミュニティー規模が小さく、宣伝や流布を比較的容易に行うことができました。
このような状況下で、伝説地図やカードマニア、アニキ、レタルエルム、平和教育委員会、ペンギン兵、ジーベック銀行券などが、ある一定のクロスオーバーの成果を収めたといえます。


さて、現在のカードワースの状況はどうでしょうか。
これまで発表されたシナリオ数は3000以上にも上ります。
クロスオーバーしようにも、プレイヤーが元となるシナリオをプレイしていなければ、なんのことやら分かりません。
現在は、「大抵のプレイヤーがプレイしたことのあるシナリオ」を予測しづらくなったといえます。


また、シナリオ作者の引退が相次いでおり、クロスオーバーをしたとしても、その後元シナリオが入手不可になるという危険性をはらんでいます。


このように、当時の環境と現在の環境は大きく異なっており、新たなクロスオーバーを考案するに際しては、90年代の作品ではなく、より新しいシナリオを参考にしなければならないでしょう。


さて、では具体的な例を見ながら、クロスオーバーしやすいシナリオの条件を考えてみましょう。
僕は大きく2つの条件があると思います。


1つ目の条件として、シナリオ自体が名作・秀作と評されるような出来の良い作品であることです。例えば、城塞都市キーレ、竜殺しの墓、森林警備隊、隠者の庵など。
名作の評判が立てば、大抵のプレイヤーがプレイすることになるでしょうから、クロスオーバーしやすいはずです。
逆につまらないシナリオでは、クロスオーバーのしがいがないし、バグがある作品に至っては、むしろプレイヤーの迷惑になりかねません。


イヨンスウプ氏は名作を複数輩出し、そのために「キーレ」の地名や、竜殺しの墓の称号や入手カード「竜殺し」、魔術師ルジアなどが複数のシナリオでクロスオーバーされました。また、森林警備隊に関しても出来が好評でしたし、作者の知名度もあってかキーコード「撹乱」は広く行き渡りました。


2つ目の条件として、宣伝が十分に行われているということです。
例えば、シナリオ作者に相互クロスオーバーを(掲示板で)申し込むとか、ウェブサイトにクロスオーバーに関する詳細を提示するなどの方法があると思います。
新港都市ポートリオンや隠者の庵のキーコードなどが好例でしょう。


ポートリオンではMNS氏のシナリオとクロスオーバーすることによって、MNS氏が逆にクロスオーバーしたという経緯が(たぶん)ありますし、ウェブサイトにもクロスオーバーに関する紹介を掲載しています。隠者の庵のキーコードに関しては、ウェブサイトにキーコードの概念に関する詳細を掲載し、作者の人気に乗じて、広い啓蒙をもたらしました。


この2つの条件が最も重要だと思いますが、もうひとつ加えるとすると、「作者が有名人であること」でしょうか。
何はともあれ、クロスオーバー企画に必要なのは知名度だと断言できます。


逆に広まらなかった企画もたくさんありますね。
挙げ連ねるのは気が引けますが、みなさんもいくつか思い浮かぶのではないでしょうか。
なぜそのクロスオーバー企画が流行らなかったのか。その原因を探ることによって、クロスオーバーしやすいシナリオの条件が見えてくると思います。